「知財コスト」の記事


2013年1月7日の日経新聞、法務面に「アップルとサムソンに学べ」との見出しで知財戦略に関する記事が掲載されていた。

 この記事について、弊所でお世話になっている税理士の先生から「仕事柄、費用のところに目がいってしまうんだけど」と指摘されたのは、記事中の製造コストを示したグラフ。

 それによると日本メーカーの知財コストが”1”に対して、中韓メーカーの知財コストは”3″。
  最初「中国や韓国のメーカーは日本の3倍の金額を知財に使っているってことかー?」と思ったが、このグラフはさにあらず(いや実際、特許取得や特許訴訟に関しては韓国メーカーの方がずっと潤沢に資金を使っている気がしますよ)。

 通常「知財コスト」とは特許を始めとする知的財産の取得・管理・活用に関するコストを指すことが多いが、この記事での「知財コスト」とは、特許利用料などのいわゆる「ロイヤリティー」のこと。つまり、グラフの意味するところは、韓国や台湾のメーカーはロイヤリティーをたくさん払っていますよ、ということ。

 この記事の主張は、頑なな自前主義に陥らずに、標準技術を取り入れたりロイヤリティーを払って済むところはそれで済ませ、他の費用を抑えた上で、メリハリのある投資、市場での価格優位性を進めていくべき、ということであると筆者は理解した。昨今の「所有より利用」の流れに沿ったものか(違っていたらゴメン)。

 

 半導体や光学機器の分野で、日本企業が欧米企業から訴訟をおこされたあげく損害賠償金をがっぽりとられたのは、何十年も前の話ではない気がする。
その「知財コスト」を下げるべく、日本メーカーは多くの特許を取得して、基本技術を確立しようと頑張ってきたのではないか?